100年経っても色褪せない貴腐ワイン最高峰のシャトー・ディケムとは?
とろけるような甘さが魅力の貴腐ワイン「シャトー・ディケム」。世界中のワイン愛好家から絶大なる称賛を集めるシャトー・ディケムは、まさに貴腐ワイン最高峰です。そこで今回の記事では、シャトー・ディケの美味しさを味わってみたい方、初めて飲まれる方などに対し、シャトー・ディケムに関する様々な知識をまとめてみました。
貴腐ワインのシャトー・ディケムとは何なのか?どうやったら美味しく飲めるのか?当たり年ごとの特徴などを詳しく解説していきますので、参考になれば幸いです。
貴腐ワイン、シャトー・ディケムとは?
シャトー・ディケムとは、フランスボルドー地方、ソーテルヌ地区で収穫・醸造されている世界最高峰の貴腐ワインです。美しい色合いや芳醇な香り、そしてとろけるような甘さは、貴腐ワインの中でも唯一無二の存在です。
その別格の深い味わいは、世界で最も影響力があると言われるアメリカ出身のワイン評論家「ロバート・パーカー」からも100点満点の評価を得ているほどです。
貴腐ワインとは?
そもそも貴腐ワインとは、デザートワインの一種で、貴腐菌と呼ばれるカビが持つ力を使い造られます。非常に希少で、生産も困難なことから、別名「ワインの帝王」とも称されています。貴腐菌はワインの原料となるブドウにとって厄介な存在であり、茎や果実を腐らせます。しかし昼はカラッと乾燥し、夜はジクジクと湿度の高い環境において、貴腐菌が付着したブドウは果実の甘さがギュッと濃縮され、糖度の高い貴腐ブドウに変化します。
この特定の環境下で育った貴腐ブドウの表面は貴腐菌で覆われているため、通常のブドウのように機械を使った収穫が不可能です。そのため、全て手摘みで収穫し、さらに貴腐菌が付着した果皮を残さないよう、丁寧に実だけを取り出す必要があります。
取り出した実は水分が蒸発しているため、採取可能な果汁はほんの少しです。この希少な果汁を使い製造されるのが貴腐ワインです。
デザートワインの王様
誰でも美味しく飲めるデザートワイン(甘口ワイン)にも様々な種類があり、それぞれ産地・原料・製造方法などが全く異なり、料金もピンからキリまでです。そんなデザートワインの中で最も手間暇をかけ希少価値が高く、過去に様々なトラブルを乗り越え製造が続くシャトー・ディケムは、デザートワインの王様とも呼ばれています。
シャトー・ディケムを美味しく飲む方法
100年経っても色褪せないシャトー・ディケムですが、最高の美味しさを堪能するためには、製造から10~20年ほど寝かす必要があります。製造間もないものではなく、いわゆるヴィンテージものから選びましょう。また飲む際にはシャトー・ディケムの美味しさを最大限にまで引き出すため、しっかり冷やし、デザートワイン用のグラスがおすすめです。
保存方法は?
シャトー・ディケムの味を落とすことなく、最高の味わいを楽しむためにも、保存方法は4~8℃ほどの温度下がおすすめです。一般的な白ワインの場合、7~9℃前後の保存が推奨されています。シャトー・ディケムも白ワインと同じくらいでも問題ありませんが、もう少し冷やして保存することで、より美味しい状態を維持できます。
シャトー・ディケムの甘さをより引き出すためにも、4~8℃ほどで保存しましょう。
シャトー・ディケムと合う料理は?
シャトー・ディケムは冷やして単体で飲むだけでも十分な美味しさを味わえますが、より美味しさを楽しむためにもマリアージュ(ペアリング)の存在は重要です。マリアージュとして最も適しているのが「フォアグラ」で、シャトー・ディケムのような貴腐ワインに合う料理として定番中の定番です。フォアグラのソテーとの相性も抜群ですが、例えば前菜料理としてテリーヌやパテにしたフォアグラをパンに塗って食べた時のシャトー・ディケムは絶品です。
他にも、甘いシャトー・ディケムとは相反する塩気を持ったブルーチーズとの相性も最高です。甘いもの同士でのマリアージュが苦手な方におすすめの料理です。
シャトー・ディケムの当たり年は?
シャトー・ディケム選びに欠かせないのが「当たり年」です。常に美味しく製造されているシャトー・ディケムですが、その年の気候やその他様々な環境により、味や香りに絶妙な違いが生じます。そこでここでは、シャトー・ディケムの当たり年と、当たり年ごとの特徴についてご紹介します。最高のシャトー・ディケムを楽しむためにも是非参考にしてみてください。
当たり年はこちら
1959年、1967年、1971年、1975年、1983年
1988年、1989年、1990年、1994年、1998年
2001年、2005年、2009年、2011年、2015年
当たり年ごとの特徴はこちら
シャトー・ディケムには、当たり年ごとに様々な特徴があります。ここでは当たり年の中でも特におすすめなシャトー・ディケムを6つご紹介します。
1988年
1988年以前に非常に素晴らしいワインと評価を得た1975年の味わいを踏襲すると評価を得た当たり年です。ブドウの甘みがしっかりと凝縮され、オレンジやマーマレードなどの香りがより味わいを引き立てています。
1988年のシャトー・ディケムの商品はこちら
1990年
シャトー・ディケムのヴィンテージ3部作と呼ばれる「1988年」「1989年」「1990年」の中の1つで、これらの中で最も高い評価を得ています。1929年以降で最も糖度が高く、極めてねっとりしたテイストでも十分な酸によって高揚感や焦点を感じます。
1994年
すっきりとした甘みに包まれるシャトー・ディケムで、飲みやすさの評価が高い当たり年です。パーカーポイント(ロバート・パーカー考案の評価方法)では90点の高評価を得ています。
1998年
多くのワイン専門誌で「完熟な熟成を迎える」と高い評価を得た当たり年です。今最も飲みごたえのあるシャトー・ディケムの1つで、今後もさらに注目を集めていくことが確実視されています。
2001年
パーカーポイントで文句なしの100点満点を得たシャトー・ディケムの当たり年です。1811年以降のパーカーポイントで100点を記録したのは2001年を含み6つのみで、桃のような甘さとバランスの良い酸味に定評があります。
2009年
こちらもパーカーポイントで100点満点を獲得し、「後世に語り継がれる素晴らしいワイン」と絶賛されています。伝説とも言われる1945年のシャトー・ディケムと同等の出来栄えの当たり年です。
シャトー・ディケムが生産される場所
世界最高峰のシャトー・ディケムはどこで生産され、どんな栽培方法でどのように醸造さてれているのでしょうか?シャトー・ディケムの美味しさの秘密、希少価値の秘密について探ってみました。
ソーテルヌ村が産地
シャトー・ディケムは、世界三大貴腐ワインの産地として知られるフランスアキテーヌ地方のジロンド県ソーテルヌ村で作られています。原料となる貴腐ブドウは、ソーテルヌ村の丘上にあるグラン・クリュ(特級畑)にて収穫しています。グラン・クリュ周辺は草原に囲まれており、霧が発生しやすい泉があります。この立地環境が貴腐菌を増殖させ、高品質な貴腐ブドウを育てています。
独自の栽培方法が希少の秘訣
シャトー・ディケムの原料となるブドウは、冬場の剪定で残す芽は1枝に2つのみとし、潜在アルコール度数を上げています。さらに潜在アルコール度数が20になるまで厳重な管理下で栽培を行っています。手摘みによる収穫で徹底された品質管理の元、1本のブドウの木から作られるシャトー・ディケムは、僅かグラス1杯分のみ。このような独自の栽培方法と手摘みによる収穫が、シャトー・ディケムに希少価値を付けています。
こだわりぬいた醸造
シャトー・ディケム用に収穫したブドウに保管という概念は一切なく、その日のうち(1時間以内)に醸造所へ運ばれます。醸造所ではすぐに空気式圧搾機で2度圧搾され、次に垂直式圧搾機を使って圧搾します。発酵を避けるためすぐに温度の低い地下タンクに保管され、翌日フレンチオーク100%の新樽を使って発酵させます。
さらにステンレスタンクへ移して再発酵を防ぎ、温度が下がったところで新樽率30%の樽で熟成。出荷前に最終的な品質テストを行い、問題なければ瓶詰めとなります。
このように手間暇をかけてこだわりぬいた醸造が確立しているからこそ、世界最高峰の貴腐ワインが出来上がるのです。
シャトー・ディケムの歴史
シャトー・ディケムの歴史は非常に深く、当初はイギリス国王の所有地で、1453年以降にフランス国王の手に渡ります。その後、ソヴァージュ家に所有権が移りブドウ栽培が始まり、フランソワーズ・ジョセフィーヌの婚姻によってサリュース家が所有します。しかし婚姻3年でサリュースが事故死したことで、フランソワーズ・ジョセフィーヌは未亡人となりワイン造りを継承。
1999年にはルイ・ヴィトンの傘下に入り、300年以上続く伝統を継承しつつ、今でもシャトー・ディケムは製造が続いています。シャトー・ディケムが持つ美しい色合いととろけるような甘さは、現在でも世界中の人々を魅了し虜にしています。
歴史においても多くの有名人に愛飲されてきました
シャトー・ディケムの美味しさは、世界の有名人も魅了し続けてきました。1787年には、アメリカの駐フランス行使である「トーマス・ジェファーソン」がシャトー・ディケムに魅了され、当時の大統領「ジョージ・ワシントン」のためにシャトー・ディケムを注文しています。
またシャトー・ディケムの魅力は極東の日本にまで届きました。先の明治天皇が愛飲し、定期的に注文を繰り返していたと言われています。
100年色褪せない最高のデザートワイン
シャトー・ディケムをぜひお楽しみください。
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